高性能マシンビジョンシステムの開発においては、産業用レンズと光源の連携が重要な役割を果たします。最適な画像性能を実現するには、光学パラメータ、環境条件、検出対象を総合的に調整する必要があります。効果的な連携を実現するための重要な考慮事項を以下に概説します。
I. 絞りと光源の強度のバランス
絞り(F値)は、システムに入る光の量に大きく影響します。
絞りを小さくすると(F値が高い、例えばF/16)、光の取り込み量が少なくなり、高輝度光源による補正が必要になります。その主な利点は被写界深度が深くなるため、高さの変化が大きい被写体を撮影する用途に適しています。
逆に、絞りが大きい(F値が小さい、例えばF/2.8)と、より多くの光を取り込むことができるため、低照度環境や高速移動のシナリオに最適です。ただし、被写界深度が浅いため、被写体が焦点面内に収まっていることを確認することが重要です。
II. 最適な絞りと光源の調整
レンズは通常、中絞り(最大絞りより約1~2段分小さい絞り)で最高の解像度を実現します。この設定では、信号対雑音比と光学収差制御のバランスを良好に保つために、光源の強度を適切に調整する必要があります。
III. 被写界深度と光源均一性の相乗効果
小絞りを使用する場合は、均一性の高い面光源(例:拡散反射光源)と組み合わせることをお勧めします。この組み合わせにより、局所的な露出オーバーや露出アンダーを防ぎ、深い被写界深度が求められる状況でも画像の一貫性を確保できます。
大口径レンズを使用する場合、エッジコントラストを高めるために点光源または線光源を使用できます。ただし、迷光干渉を最小限に抑えるため、光源の角度を慎重に調整する必要があります。
IV. 光源波長に合わせた解像度の調整
高精度な検出タスクでは、レンズの分光応答特性に合った光源を選択することが不可欠です。例えば、可視光レンズには白色LED光源を、赤外線レンズには赤外線レーザー光源を使用する必要があります。
さらに、エネルギー損失と色収差を防ぐために、選択した光源の波長はレンズコーティングの吸収帯を避ける必要があります。
V. ダイナミックシーンの露出戦略
高速検出シナリオでは、大口径と短い露光時間の組み合わせがしばしば必要になります。このような場合、モーションブラーを効果的に除去するために、高周波パルス光源(例:ストロボライト)の使用が推奨されます。
長い露光時間を必要とするアプリケーションでは、安定した連続光源を使用し、周囲光の干渉を抑制して画質を向上させるために偏光フィルターなどの対策を検討する必要があります。
投稿日時: 2025年8月21日




